短編


こちらはさらりと読める短編小説置き場です。

ある日突然、父が死んだ。あまりにも突然の死だった。少年は父の遺品整理を行っているときに、書きかけの手紙を見つける。『君へ』と書かれたその手紙を読み進めてゆくうちに、無関心だった父が自分に対して持っていた感情を知ることとなる。

ひとりの老人とひとりの少年の、あてのない旅の物語。

とある港街────。その街は、死に向かい歩み続けていた。大人達は皆全てを受け入れ、その街と共に逝こうとしている。少年は無垢な心でそれを見詰めながら、何時もそれに抗い、死にゆく街で生きようと足掻いていた。そんな街にふらりと現れたひとりの男。死に場所を探し辿り着いたその男との出逢いが、少年を大人へと変えてゆく。

 母が死に、単身父の暮らす異国へと帰国したコウ。突然の別れに塞ぎ込む心を解きほぐしてくれたのは、かつての友人と変わらぬ美しい海だった。 しかし深い心傷を癒そうとするコウの前に次々と訪れる変異。変わりゆく海、クジラ達の異常行動、不思議な少年────。 喪失の意味を探すファンタジー短編。