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小説

2019.04.11 10:27

『きみへ』

 火葬場の黒光りした屋根の真上に広がる真っ青な空に立ち昇って行く、細い白煙。それはまるで、俺にとって父と言う存在そのもののように感じた。掴み所などどこにもなく、少し風が吹けば直ぐに消えてしまう。まるで常に何かに泳がされ、怯えながらも、自分を形作る確固たる筋を曲げようとはしない。そして何時も、酷く自分勝手である。 そんな父が突然俺達の前から...

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